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トラスツズマブ デルクステカン適応HER2低発現乳癌の診断についてのお知らせ

2023年4月10日

一般社団法人日本病理学会

理事長 小田義直

病理診断ガイドライン委員会

委員長 金井弥栄


2023年3月27日にトラスツズマブ デルクステカン (T-DXd)(商品名エンハーツ)が、「化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌」に適応拡大されました。T-DXdを保険診療下でHER2低発現乳癌に使用する場合には、同3月3日に薬事承認されたコンパニオン診断薬を用いた免疫組織化学(以下、IHC)検査 による「HER2低発現」のHER2判定が必要となります。本IHC検査の要点・留意事項は以下になります。

1.HER2低発現乳癌とは
「HER2 IHC 1+」または「IHC 2+かつISH陰性」の乳癌です。

2.HER2 低発現乳癌に対する保険下でのT-DXd 使用のためには
 a.コンパニオン診断薬ベンタナultraViewパスウエーHER2(4B5)以下CDx)によるHER2低発現の確認が必要です。
 b.CDxによるHER2低発現の判定結果は2023年3月27日以降のものが必要です(つまり、当面、新たにCDxを用いたHER2再検査が必要)。
 c.CDxを用いたHER2再検査の医学的な対象は、過去のHER2検査で陰性(IHC 0, 1+, 2+かつISH陰性)で、かつ、今後T-DXdの使用を考慮する場合です。
 d.CDxによるスコア判定は厳密に行う必要があります。特に、低発現の診断には注意を要するため、「ベンタナultraViewパスウェーHER2(4B5)判定ガイド~乳癌編~」(別添)を御参照ください。
 e.T-DXdの適応は、従来のHER2陽性とHER2低発現の両者となるため、T-DXd使用においては事実上ISH検査は不要です。

3.現状における問題と現時点での対応 (2023年3月27日からCDx保険適用まで)
 CDxの薬事承認は得られていますが、現時点で保険適用はされていません。保険適用までの期間は、必ず「第一三共提供検査プログラム」または「患者全額負担」によってCDx検査を行う必要があります。臨床医・病理医・医事課の間で連携をとり、検査のコスト請求が通常の保険診療に流れて行かないよう御留意下さい。

詳細については以下をご覧ください。なお保険外併用療養費制度下でのHER2 IHC検査実施は、当該CDxが保険適用になるまでの期間になります(当該CDxの保険適用には1~3ヶ月かかる見込みです)。

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