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トラスツズマブ デルクステカン適応HER2低発現乳癌の診断についてのお知らせ VER2(改定版)

2023年5月15日

一般社団法人日本病理学会

理事長 小田義直

病理診断ガイドライン委員会

委員長 金井弥栄


2023年4月10日付で公表いたしました「トラスツズマブ デルクステカン適応HER2低発現乳癌の診断についてのお知らせ」につきまして、5月1日より、コンパニオン診断薬ベンタナultraViewパスウエーHER2 (4B5)によるHER2 低発現乳癌の確認検査が、保険適用下で実施可能となりましたので、以下の通りお知らせいたします。

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2023年3月27日にトラスツズマブ デルクステカン (T-DXd)(商品名エンハーツ)が、「化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌」に適応拡大されました。T-DXdを保険診療下でHER2低発現乳癌に使用する場合には、同3月3日に薬事承認され, 4月28日に保険適用が承認され、5月1日より実施可能となったコンパニオン診断薬を用いた免疫組織化学(以下、IHC)検査 による「HER2低発現」のHER2判定が必要となります。本IHC検査の要点・留意事項は以下になります。

1.HER2低発現乳癌とは
「HER2 IHC 1+」または「IHC 2+かつISH陰性」の乳癌です。

2.HER2 低発現乳癌に対する保険下でのT-DXd 使⽤のためには
a.コンパニオン診断薬ベンタナultraViewパスウエーHER2 (4B5) (以下CDx)によるHER2低発現の確認が必要です。 b.CDxによるHER2低発現の判定結果は2023年3⽉27⽇以降のものが必要です(つまり、当面、新たに CDx を⽤いた HER2 再検査が必要)。 c.CDx を⽤いた HER2 再検査の医学的な対象は、過去の HER2 検査で陰性(IHC 0, 1+, 2+かつ ISH 陰性)で、かつ、今後 T-DXd の使⽤を考慮する場合です。 d.CDxによるスコア判定は厳密に行う必要があります。特に、低発現の診断には注意を要するため、「ベンタナ ultraView パスウェーHER2(4B5) 判定ガイド~乳癌編~」(資料1)を御参照ください。 e.T-DXdの適応は、従来のHER2陽性とHER2低発現の両者となるため、T-DXd使⽤においては事実上 ISH検査は不要です。

HER2低発現乳癌の検査費用(資料2)
HER2低発現乳癌へのT-DXd保険下投与には、当面、ほとんどの症例に対し、CDxによる再検査が必要です。CDx再検査は2023年4月28日に保険適用が承認され、同5月1日から保険診療として実施可能となりました(資料2)。

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