2004年6月アーカイブ
2004年6月 4日
医療訴訟鑑定人候補者推薦について
平成15年7月17日
常任理事会
本年4月、最高裁判所事務総局から、「現在進行している一件の医療訴訟のために病理医の鑑定人を学会として推薦して欲しい」という 依頼がありました。常任理事会は、担当係官に来ていただいて説明を受けるなど2ヶ月余にわったって本件を審議してきた結果、このたび、「社会への使命を果 たすという観点から、日本病理学会は本件に前向きに対応する」という方針をとることにし、1名の鑑定人候補を推薦いたしました。以下に、この間の経過と主 要な論点をご報告いたします。本件について疑問やご意見がありましたら、理事長、広報委員長もしくは事務局までおとどけください。
"医療訴訟鑑定人候補者推薦について・・・・経過と主要な論点"
1. | 平成14年秋 最高裁民事局より、医療訴訟について鑑定手続きを改正しつつあるのでご理解いただきたいという趣旨の手紙と、それを解説したパンフレット「これからの医療訴訟」を受け取る。具体的要請はなく、ご理解いただきたいという趣旨の内容であった。 |
2. | 平成15年4月 最高裁判所医事関係訴訟委員会(委員長森亘先生)より、鑑定人候補者推薦依頼書と、森委員長からの手紙を受け取る。手紙は、従来の鑑定手続きに(1)鑑定 人の時間的・精神的負担が大きい、(2)鑑定人に対して裁判所側や弁護士側から不適切な対応があったことなど、問題があったので、その改善にむけた取り組 み、努力をおこなっているのでご理解いただきたいという趣旨の報告と、それを踏まえて病理学会として鑑定人候補者を選んでいただきたいという依頼であっ た。 |
3. | 平成15年5月 病理学会常任理事会にてこの申し出を審議。数点の問題点(内容は以下)が指摘され、それらがクリアされたら、前向きに対応してゆくべきであるという点で合意。 |
4. | 同5月22日 病理学会から民事局への書簡「医事訴訟鑑定人依頼についての伺い」発送。主に以下の4点について問い合わせた。 (1) 鑑定という行為が鑑定人にとって誇りと思える環境づくり、正の履歴になるような方策がどうとられているか?謝意の表現、勤務先への配慮などについて(2) グループ鑑定はありうるか?(3)候補者は全国的基盤から選ぶということでよいか?(4)鑑定人に対する報酬の算定基準。 |
5. | 同6月13日 最高裁総務局民事局係官との会合:記録は以下資料にあり。 |
6. | 同7月8日 常任理事会。上記会合の報告を受け、審議。学会としての基本的問題に対して対応がなされているとの判断で一致し、結論として本件に前向きに対応してゆくことを申し合わせた。鑑定人候補者一名を推薦した。 |
資料 最高裁判所事務総局民事局係官との会合・記録
最高裁判所事務総局民事局係官との会合・記録
日時 | : 2003年6月13日午前10時~11時 | ||||
所 | : 日本病理学会事務所 |
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出席者 |
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1. | 最高裁側よりの医療訴訟の現状の説明
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2. |
学会より提出した"医療訴訟鑑定人依頼についての伺い"
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(文責:坂本)
平成16年度理事長・常任理事就任挨拶
平成16年6月
理事長 森 茂郎
ご支持をいただきまして、あと2年理事長をつとめさせていただきます。課せられた案件は多く、中には解決が容易でない課題も少なくないのですが、役員一同、正面から努力してゆく所存です。引き続きご支援をお願いいたします。
学会の中期的な課題と方向につきましては、昨年度、将来構想計画委員会および監事から答申をいただいており、その基本線を重視し、肉付けして実行してゆく所存です。会員諸賢にはこれら答申へのご理解と実行へのご支援、またさらに前進するための論議をお願いたします。
諸課題の解決には、社会情勢、医療情勢、学問の進展など外的要因がおおきく関わっておりますが、一方では会員の積極的な尽力がなければ何事も解決できないという面があります。会員のおおきなエネルギーが結集できるような環境を作ることが非常に大切であると思っており、そのための形の整備を模索しています。会員諸君、特に若い方々の学会活動への積極的なご参加をあらためてお願い申し上げます。
副理事長・財務委員長 坂本 穆彦
平成14・15年度の財務担当理事にひきつづき、昨年の選挙では今期(16・17年度)も理事にお選びくださり、会務での活動の場 をお与えいただいた会員の皆様に御礼申しあげます。これまでは財務担当常任理事として、学会会計の健全な運営にとりくんでまいりました。今期は、年度末に監事の先生方よりいただいた答申を参考にし、全面的な見直し作業を行う予定です。また、常任理事会での学会が関与する諸事項の検討に常任理事として加わると同時に、副理事長、企画委員会委員長、財務委員会委員長、「診断病理」編集長、癌取扱い規約委員会委員長としての立場からも会務にとりくみます。とくに、企画委員会では変貌著しい医療環境の中での病理専門医のあり方、病理担当検査技師の専門性の認定の2点に関しては焦眉の問題としてとらえ、ワーキンググループを設置して早急に学会としての対応策を模索したいと考えております。会務運営の全般につきまして、会員の皆様から忌憚のない御意見をお聞かせいただければ幸いです。
副理事長・病理専門医部会長 長村 義之
日本の医療におけるさまざまな局面で日本病理学会・病理専門医の責任ある対応が求められて来ております。今回の診療報酬改訂では、病理診断料・病理検査判断料などが出来高となり、ドクターズフィーの導入の先駆けとして高く評価されるべきと考えます。また、臨床研修の必須化にともない、病理学会もその専門医育成に臨床研修を義務化いたしました。更に、医療の内容も変革してきており、病理診断の内容にも対応が求められてきています。このような背景と種々の課題の中で、今期はこれまでの活動を基盤に、臨床研修を踏まえた病理専門医育成のための研修内容の普及、平成18年度の診療報酬改定に向けての病理学会からの要望(出来高払いとドクターズフィーの確立など)、病理専門医部会活動の充実(職場環境の改善 適正配置と地域連携 精度管理、医業としての病理診断、生涯教育)など諸委員会とも力をあわせ課題を整理しつつ積極的に取り組みます。どうぞご支援ください。
常任理事・学術委員長 岡田 保典
病理学においては、診断病理学と実験病理学(分子病理学)を融合させた間口の広い「統括病理学」を実践することが今こそ肝要と私は考えております。病理学会は、病理診断・解剖を通して診療に関わる実践的な側面と病気の原理を究める学問としての両面をもつことから、診断病理と実験病理の一方に偏ることなく運営されるべきと思われます。学術委員長として、「実験的事実に裏打ちされた診断病理」と「ヒト疾患の診断・治療に結びつく実験病理」が表裏一体となった情報を提供できる病理学会を目指して努力したいと考えております。より具体的には、学会における優れた演説の選考や学術奨励賞の選考、研究推進事業(技術講習会、病理カンファランスなど)、学術雑誌の発刊、などをこれまで以上に活性化していくとともに、春・秋の病理学会のあり方についても再検討していきたいと思っております。病理学会員の皆様のご意見とご協力をよろしくお願い申し上げます。