2014年6月アーカイブ

2014年6月11日

第103回日本病理学会総会市民公開講座の開催のご報告

国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター副院長 谷山清己

本市民公開講座は総会第3日(2014年4月26日)午後4時半から、広島国際会議場地下2階ヒマワリ会場にて開催されました。テーマは、「市民と病理の接点を探る-乳がんの診断と治療を通して-」です(写真1)。座長は、中川けいさん(特定非営利活動法人乳がん患者友の会きらら理事長)と筆者が務めました。演者は4人です。治療医代表として、京都大学大学院医学研究科乳腺外科学教授戸井雅和先生が、「乳がん治療の最新動向」という演題で講演しました(写真2)。従来の薬よりも有効性が高く、副作用の少ない新しい薬が次々と開発されることや日本発の素晴らしい薬の紹介などとともに外科手術の進歩などについてわかりやすい講演でした。続いて筆者が病理医代表として講演しました(写真3)。演題名は「がん診断の決め方、伝え方」としました。病理診断が決まるまでの流れを、病理診断科の現場写真や臓器写真を用いて説明し、併せて、病理診断を病理医が患者に直接説明する「病理外来」の目的と効用を概説しました。この「病理外来」は、筆者が10年以上前から継続して行っている活動であり、近年では多くの病理医が実際に行いつつあります。3人目は、筆者と同じ施設に勤務する緩和ケア認定看護師の中西貴子さんが看護師を代表して講演しました(写真4)。題名は「心のケアを考える」です。治療医から"がん"という診断名を告知された時、治療法を選択するように求められてとまどう時や有効な治療法がないと告知された時などに、「心のケア」がいかに大切であるか、そして、病理外来で得られる「正しい病態理解」が患者の心を和ませるのに有用という報告でした。最後は、患者代表として中川けいさんが「明日はきっといい日」という演題の講演を行いました(写真5)。ある日突然に"がん"と告知され、全く何の準備もしていない状況から始まるいろいろな混乱、不安をご自身の体験談を交えて説明し、大変な状況であるけれども患者はもっと自らの病気を知らなければならない、病理診断にもっと注意を払わなくてはいけないと熱く語りました。筆者が行う「病理外来」を高く評価し、全国的にこの活動が広がることを期待すると述べました。最後に司会者が、「病理診断」が"がん医療"の根幹であること、病理医は患者の立場に寄り添う存在であることなどを「まとめ」として述べました。
 会場には約200人の参加者がつめかけ、熱心に耳を傾けていました(写真6)。また、地方テレビ局や新聞社による取材が行われ、後日、新聞やテレビで本公開講座が盛況であったことや病理診断が医療に大切な要素であることなどが報道されました。
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写真1
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写真2 戸井 雅和先生 (京都大学大学院医学研究科外科学講座乳腺外科)
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写真3 谷山 清己 (国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 病理診断科)
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写真4 中西 貴子さん (国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 緩和ケア認定看護師
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写真5 中川 けいさん (特定非営利活動法人 乳がん患者友の会きらら)
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写真6 参加者の方々